障がい者の就労支援を行うセルフ・エー株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役:大島公一)は現在、就労継続支援A型事業所※1を中心に66事業所※2を展開し、全国で約1,500名(延べ2,300名)の障がい者雇用ネットワークを構築しています。今回は、当社ネットワークの中で、取り組んでいるアパレル・ファッション関連の仕事について紹介いたします。

ネット販売の仕組みを構築し、障がい者の仕事を作り出す

福祉的就労の場である就労継続支援A型事業所(以下、A型事業所)の生産活動は、大きく分けて「請負・受託」「自主事業」の2通り。「請負・受託」は企業・団体から仕事を受注し取り組む仕事、「自主事業」は事業所を運営する企業・団体が独自に取り組む仕事です。当社は、この2つの生産活動と、国からの補助金で運営しています。A型事業所の安定的な運営とメンバー(利用者)の収入を維持するには、請負・受託の仕事はもちろんのこと、自主事業での収入が欠かせません。
そこで当社では、メンバー(利用者)の仕事を生み出すことを目標に、ネット通販の仕組みの構築に取り組んでいます。例えば、古着を買い付けて仕分けし、商品撮影をしたものを販売する自社通販サイト「falet(ファレット)」の運営。また、ブランドものの高価な革靴やスニーカーを手間暇かけてリペア(修理)し、オークションサイトに出品する事業など、アパレル・ファッションとネット通販の組み合わせで生産活動を行っています。“サステナブル”への意識の高まりから、洋服やファッションアイテムのリユース・リサイクルにも注目が集まっており、当社では今後さらにこの分野への注力していきます。

※通販サイト「falet(ファレット)」 https://www.falet.jp/srchtop/
※利用者とは、障害や難病を理由として一般就労が難しく、福祉的就労の場であるA型事業所で雇用契約を  結んで就労している人たちのこと

 

アクセサリーや靴の通販に取り組む事業所

当社ネットワークの事業所である「self-A・オンステージ鶴間」(神奈川県大和市)では、アクセサリーの検品梱包、ピッキング、商品撮影、画像の加工、ウェブサイト制作を行っています。この仕事では、事務的なパソコンスキルのみだったメンバーが、仕事を通じて合成画像を作成したり、チラシを作成したりといったデザインスキルを伸ばしたメンバー(利用者)がいます。仕事を通じて、それまで興味が薄かったファッションへの関心が高まり、おしゃれを楽しむメンバーも見られるようになりました。

仕事を通じて“自己実現(self-actualization)” できる仕組みを作る

当社では、メンバー(利用者)がアパレル・ファッション関連の仕事をすることにより、より社交的な気持ちになるきっかけになると考えています。実際に関連した仕事に携わるうち、普段のファッションに気を使うようになったり、明るい色の服を着るようになるなどの変化がみられるメンバーもいます。メンバー割引や社販を利用し、ファッションをリーズナブルに楽しめることも、こうした良い変化を後押ししています。仕事を通じて新たな興味が湧くことで、意欲が増し、取り組む姿勢もより真剣になります。そうすることで“自己実現”できるのです。当社ではこれからも “持続可能”なA型事業所の運営に向けて、さまざまな企業・団体と連携しながら障がい者が仕事を通じて“自己実現”できる仕組みづくりに取り組んでいきます。

※1)障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスの1つとして、一般企業への就職が困難な障がい者へ働く機会の提供を行う場所。企業などから依頼された仕事を担うためにスキル、知識の習得など必要な就労訓練を行います。A型事業所では、障がい者と雇用契約を結び、給料を支払います。これに対しB型事業所は非雇用の形式で、比較的障がいのレベルが重度の人が利用する傾向にあります。また、原則24カ月(2年間)の期間内で一般就労するために事業所内や企業における作業や実習、適性に合った職場探しと定着のための支援を行う「就労移行支援事業」。他に、「就労定着支援事業」があります。

※2)2020年5月1日時点の事業所数。都道府県別の内訳は以下の通り。
青森県(1)、山形県(2)、茨城県(9)、群馬県(7)、埼玉県(2)、東京都(3)、神奈川県(3)、
新潟県(3)、石川県(10)、富山県(8)、福井県(1)、山梨県(3)、長野県(3)、三重県(1)、
京都府(1)、大阪府(6)、広島県(3)

※3)当社では、第10期(2019年9月)より事業所の利用者の呼称を、それまでの「コアスタッフ」から「メンバー」と変更しました