障害のある状態と判断されると、障害年金や労災補償の給付、障害者手帳の交付などを受けることができます。それぞれ、障害がどの程度生活に影響しているかによって、等級が定められていることをご存じですか?等級が異なると、給付金額や受けられるサービスなどにも違いが出てきます。この記事では障害等級について紹介します。

障害等級とは?

障害のある人が利用できるものとして

・障害年金

・労災年金

・障害者手帳

がありますが、それぞれで障害の状態に応じて、障害等級が法令によって定められています。身体障害・知的障害・精神障害いずれにおいても定められているものです。
目的によって等級の定め方や基準が異なり、共通する等級ではないため注意しましょう。

障害年金における等級

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。障害基礎年金は、障害の原因となった病気・けがの初診日や被保険者期間など、定められた条件をすべて満たしていれば支給されるものです。

一方で障害厚生年金は1級から3級まで3種類の等級が定められています。3級より2級、2級より1級と数が小さくなるにつれ、障害が日常生活にきたしている影響が大きいと判断されます。

1級から3級まで、各等級に当てはまると判断される基準は詳細に定められています。ちなみに3級よりも軽い障害が残った、傷病が治ったものの労働に制限をきたすと判断された場合は、障害厚生年金を給付するのではなく、一時金として障害手当金が給付されます。

労災年金における等級

労災年金とは、厚生労働省が定めた労災保険制度にもとづき労働者へ給付されるものです。労働者が業務上または通勤により傷病を負った場合、労災年金として必要な保険給付が行われます。業務や通勤中の不慮の事故などで身体障害が残った場合だけでなく、過度な労働などにより精神障害を負った場合にも給付が行われます。

こちらも厚生労働省によって、保険給付を行うために障害等級が定められています。第一級から第十四級まで設定されており、数が小さくなるにつれ障害が日常生活にきたしている影響が大きいと判断されます。

障害者手帳の等級

障害者手帳にも等級があります。身体障害者手帳の等級は1~7級までで、障害の状態や日常生活への支障がどの程度あるかを総合的にみて等級の判断が行われます。

知的障害者に交付される療育手帳(自治体によっては「愛の手帳」や「愛護手帳」とも呼ばれる)の等級は、おもに知能指数(IQ)と日常生活への支障がどの程度あるかを総合的にみて判断されます。等級の判断は自治体によって異なり、例えば東京都や名古屋市では最重度とされる1度から軽度の4度、埼玉県内の一部自治体では最重度のマルA・A・B・軽度のCと定められています。

精神障害や精神疾患を持つ人に交付される精神障害者保健福祉手帳(「精神障害者手帳」とも呼ばれる)の等級は1~3級までです。精神疾患と能力障害の状態の両面から、総合的に等級が判断されます。障害の種類によって、等級だけでなく交付される手帳の種類も異なることを覚えておきましょう。

障害の等級が異なると…?

障害年金や労災年金、障害者手帳はそれぞれ異なる基準で等級が定められています。等級が異なると、どのようなことがあるのでしょうか。

障害年金や労災年金など、お金の給付があるものは等級によって金額に差があります。等級が重度であると判断されるほど、給付される金額は原則として高くなります。

障害者手帳については、等級によって受けられるサービスや割引、控除などにも違いが出てきます。。すでに障害者手帳を交付されているなら、自分の等級が当てはまるサービスや割引、控除などを把握して活用しましょう。

自分はどの等級にあてはまる?

前述したとおり、等級の判断基準やガイドラインはそれぞれの制度によって異なります。本人や周囲だけで等級を判断し、給付や交付を受けることはできません。障害の状態によっては申請してもどの等級にも当てはまらず、給付や交付を受けられないと判断されることもあります。

等級の変更はある?

一度等級が判断されても、年月が経つと変更される可能性があります。障害者手帳は更新申請の際に、障害年金や労災年金は定期的に診断書の提出が求められ、その診断書の内容をもとに等級が変更されます。年月の経過や治療・支援の結果によっては状況が改善された、またはより深刻になってしまったと判断されることもあるためです。

等級の変更とともに、給付される金額や受けられるサービスの内容も変更後のものに反映されます。万一、等級の変更があった場合は、変更後の内容をしっかりと確認しておきましょう。

まとめ

障害年金や労災年金、障害者手帳はそれぞれ異なる基準で等級が定められています。特に障害者手帳の場合は手帳の種類や自治体によって等級が異なります。等級の判断基準は共通のものではないため、それぞれの基準をよく確認しておきましょう。本人や周囲のみで等級が判断できないことにも注意が必要です。